会長あいさつ
 本協会はやる気のあるもの同志の集いで会が結成され早46年が経過しました。
当初102名の会員が年を追って増加し平成6年には1500余名の正会員を擁し、全国ばら切花生産者の8割を占める大きな組織に成長しました。日本の3大切花生産のなかでは、ばらづくりは若手生産者が多く、組織に活気が溢れ次々と新しい事業に取り組み日本の花文化に大きく貢献して参りましたことは、自他ともに認められるところであります。
 歴史と伝統のある本協会を私どもは次の世代に、魅力ある団体として引き継いでいく責務があると痛感しております。
 日本を始め世界経済は長引く不況から脱し切れず、消費は落ち込み物価は下落の一途をたどっており、花き業界も足ぶみ状態にあります。ばら生産者はかっての夢を追い、作っていれば何とかなるということでは、今後生き残ることは難しくなるのではないかと思われます。また、諸物価値下がりのなかで所得を生み出していくにはあらゆる知恵を出し、身の丈にあった経営戦略を編み出していかなければならないと思われます、ローコスト生産体系と再生産可能所得の確保にはマニアルはない。自分の得意とする技、自分の出来るところで勝負するのが最良と考えられます。以下、幾つかを参考までに列挙してみたいと思います。

1 技術レベルの高い生産者は、自分で値ぶみが出来るようなバラを市場に出し、高級志向に対応して行く。又、都市農業の圏内の生産者は庭先販売で利ざやを出して行く。

2 大規模経営では、省力化品種の導入、管理の省資源化、周年採花本数の増加等を探求し、坪当たりの収益を上げて行く。

3 育種能力のある方は、オリジナル品種を作出し、商品の差別化を強力に進めて行く。切花のなかではバラの人気は根づよい。この傾向は今後も変わらないと予想される。

4 バラ切花が魅力ある商品に位置づくと、目本の市場を夕一ゲットに輸入攻勢はますます強くなるもと想定されます。それに対抗して行くには各個の持てるカの発揮と組織力で、国産バラの良さを消費者にガッチリとPRして行くことが重要と考えられます。

5 アメリカのローズインクの生産者のように輸入バラに席を譲り、バラ部門十α部門で所得を確保していく、複合経営が考えられます。

 日本ばら切花協会は、バブル崩壊後以前のような活気がなくなり、昨今1人・2人と脱会者が出ていますが、執行部としては、設立の原点に立って協会の運営を考えており、今出来ることから手をつけて行くよう努力をしております。

1 昨年6月に特別委員会を立ち上げ、パテント品種の増殖・改植権の間題について第一園芸(株)と協議をし契約を取り交わしました。アーチング栽培特許については同研究会のブロック長会議で本協会特別委員との談話会を開催し、双方の意見を交換し、お互いの立場を理解しあいました。

2 会員育種の新品種の取り扱いについては、関係者で話合いし、本協会で管理し、会員の利便を計画しております。さらに会員が開発した新技術については、開発者の了解を得て、本協会がパテント申請し、権利を取得し会員のメリットを計っていきたい。

3 情報化に対応するため、日ばらのホームページを開き、会員の情報処理に前向きに取り組み、各界に向けて日ばら情報の発進・収集に鍔めております。

4 消費宣伝事業については、全国ネットを核にしたメディアの活用を重視し、メリハリのある大規 棋なPRを展開し、時代に即したした事業を企画しております。

5 全国ばら切花研究大会については、従来のお祭り的要素から脱却し、生産者と消費者を結ぶ 動線の強化に、市場・卸・花屋・諸団体および学識者のご脇力によリ、フォーラム型式の研究会を模索しております。
 
 上記の事業を遂行するためには、現況の会費では執行部役員の負担が大きくなるので、次年度から会費を値上げしたいと存じます。会員の皆さまには、以上のことをご賢察の上、ご理解とご協力を切にお願い申し上げます。

日本ばら切花協会会長  大澤憲一